『フィラリア感染開始のお知らせ』
以前お知らせしたHDUですが、早々に4月30日をもちまして累積値>130に達しましたのでご報告です。
例年5月10日前後となりますが、今年は4月後半の最低気温が高く昨年よりもさらに早く感染開始となりました。
こちらはあくまでも気象庁が発表している千葉市の気温を元にした計算上のものとなります。
HDUはフィラリアの子虫が感染できるような状態まで脱皮成長するのに必要な温度が14℃以上ということに基づいて、計算された数値の累積値が130を超えると感染が始まるといった感染開始の目安となるものです。
ですので、暖かい地域であれば感染開始が早くなり、北の方へ行くと遅くなるといったことになります。
蚊が飛んだら投薬ということではなく、あくまで蚊の体内でフィラリアの子虫が成長してから投薬を開始するとされています。
これを参考にフィラリアのお薬の投薬はじめを決めていますが、米国犬糸状虫学会のガイドラインでは『感染が始まってから30日以内に1回目の投薬をすると良い』とされていますので、理屈では今年は『5月中に投薬』を始めていただけたらと思います。
あくまでも計算上のものですので、6月5日に投薬したら、6月10日に投薬したら感染が成立してフィラリア症になってしまうのかといった厳密なものではありませんのでご安心ください。
ですが、7月、8月と遅くなるにつれて感染が成立する可能性が高くなります(フィラリアが体内で成長脱皮して成虫に近づくにつれてフィラリアのお薬が効かなくなります。成虫の駆除効果はありません。)ので、『5月末~6月上旬』を目安に1回目の投薬を実施してください。
ちなみに理屈の上では千葉では3月、4月に投薬する意味はないと思います。
まれにそういう指示をされていたという飼い主さんが来院されるとついつい苦笑いしてしまいます。
飼い主さんが悪いわけではないのにごめんなさい。
ただし、外で飼育されているワンコやお家の近くに野生動物がいるようなお山がある、あるいは、そういうところにしょっちゅう出入りをしているなどであれば早めに投薬を開始するメリットは、そのワンコのおかれている状況によっては、『あり』かもしれません。
フィラリアのお薬は要指示薬となっており、投薬前に体にフィラリアがいないことを確認した上で処方・投薬するように指示がついているお薬です。
万が一フィラリアの子虫がいる状態でお薬を飲むとワンちゃんが体調不良、場合によりショック症状となることがあります。
処方をご希望の方、昨年の余りがあり今年の投薬はこれからの方、少量の血液を使用し検査が必要となりますので投薬前に一度ご相談ください。
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